ならばお好きにするがいい。
「さて、みなさんっ!今年もいよいよ体育祭が近付いて参りました!我が2年2組、全校優勝目指して頑張りましょー!」
朝のホームルームの時間、私は意気揚々と教壇に立っていた。
私の演説に「おーっ!」と男子が盛り上がる一方、「だる……」と盛り下がる大半の女子、そして……そんな様子を腕を組んでつまらなさそうに見ている小田切先生……。
こ れ は……。
「ちょっと───────────!女子はさておき、小田切先生ちょっと!何ですかその態度は!やる気あるんですか!」
「無い」
「な゙」
襟元に掴みかかった私を、鬱陶しそうに見下ろす先生に思わず硬直する。
「ななななななななななななななない!?なんで!?」
「なんでって……これ生徒の行事だろ。俺が張り切ってどうすんだよ。まぁ、応援はしてやるから……頑張れ、お前ら」
そう言って教室を出ていこうとする小田切先生のスーツを、ガシッと掴んだ。
「んだよ、離せ。俺、授業の準備しなきゃなんねーんだよ」
「先生ちょい待ち。体育祭がいつから生徒だけの行事になったのですか?」
「は?」
「今年のクラス対抗ドッジボールは担任も参加……」
「断る」
「早ッ!まだ言い終わってな……」
「それ確か担任は自由参加だろ。だから俺は遠慮しておく」
そう言ってくるりと身を翻した先生の背中に思わず飛び付いた。
「先生待ってえええええええええ!優勝クラスには購買で使えるクラス全員分のアイス券が貰えるんですよ!欲しくないの!?」
「いらねーよ。俺甘いもん嫌いだっつっただろ。つーか本当にいい加減離せ。授業遅れちまうだろーが」
先生は私の体をひっぺがすと、さっさと教室を出ていってしまった。
結局盛り上がってるのは、男子と私を含めた少数の女子だけで。
私は泣きたい思いで溜め息をついた。