ならばお好きにするがいい。
そしてもちろん、私はその足で職員室に直行。
バーンと扉を開き、室内を見回して目的の人物を捜す。
むむ……いない。
「すみませーんっ!小田切先生ーっ!小田切先生はいらっしゃいま」
「うるせぇ」
後ろからコチンと頭を叩かれて振り返ると、呆れ顔の小田切先生が立っていた。
「さすが先生、背後を取るとはやりおりますな」
「知らねーよ、たまたまお前が前にいたんだよ邪魔くせーな。つーか職員室では静かにしろっていつも言ってるだろ」
「……すみません」
「で、何の用だ」
「何の用だって!?そんなの決まってるじゃあないですか──────ぁぁあああ!」
「うるせええええええ!今静かにしろって言ったばっかりだろーが!一瞬で忘れやがったな、このアホ!」
「小田切先生、あなたもですよ」
通りすがった教頭先生に注意された小田切先生は、ビクッと肩を揺らして小さく頭を下げた。
「くそ……お前のせいで余計なとばっちり食っちまったじゃねーか」
小田切先生は小さく舌打ちすると、私を職員室から隣の教室に誘導した。
「おら、ここなら誰もいねぇから、好きなだけ大声出せよ」
「ぅおおおおだああぎぃりいいいいすうぇんすぇええええええええええええ!!!!!!!!!!」
「ただし、常識の範囲内でだバカヤロー」
小田切先生は手元にあった椅子を引いてストンと腰を下ろした。
「さっさと話せ」 腕を組みながら、面倒臭そうな表情を浮かべる先生。
「あの……例のドッジボールの件なんですけど!やっぱり、先生に参加していただきたくてお願いにやってまいりました!先生どうかお力をお貸しください!」
「なんだ、またその話か。しつけーぞ。断るっつったら断る」
「なん……で!」
「テメェも頭悪い奴だな、何度も言わせんな。生徒の行事にわざわざ担任が参加する必要ねーだろ……っつーのはあまりに酷い話だなって思ったから、応援はしてやるって言ったんだよ。練習で使う体育館やら校庭やらの手配くらいはしてやる。だから、まぁお前が中心になって頑張れ委員長」