ならばお好きにするがいい。
「俺には俺の教師としての方針がある。今までずっとその方針に従ってやってきた、もちろんこれからもそうするつもりだ。そして生徒と必要以上に馴れ合うことは、その方針から外れることになる。言ってる意味分かるか?」
トン、肩を押されて離された体。
よろけた私に、先生は冷たく言い放った。
「生徒と仲良しごっこなんて、馬鹿らしくてやってらんねーんだよ」
なに……それ?
脳内は言葉の意味がさっぱり理解出来ていないのに、口の方は意思に反して勝手に動いていた。
「先生の馬鹿ッ!」
私は知らない。
先生の教育方針だとか、先生の思い描く理想の生徒との在り方とか、私はそんなの知らない。
知りたくもない。
そんな方針、絶対間違ってる。
だって……私、今すごく悲しいもん。
生徒を悲しませるような、そんな方針、間違ってるに決まってる……!
「先生は……どうして先生になったの……?」
その問いにすら答えてくれない先生に、苛立ちだけがどんどん募って。
「もういい!先生の馬鹿!」
黙って立っている先生の横をすり抜けて、私は部屋を飛び出した。