ならばお好きにするがいい。

うしろ姿

 
「最悪~……ボール当たった~……」

「いや、これボール当てるゲームだから……」



放課後の体育館は、今日もじめじめと蒸し暑い。


今日は16人。


私の熱い声がけの成果もあり、体育祭の約二週間前になった最近では、ようやくクラスの半数が練習に参加してくれるようになった。


……のはいいんだけど。



「だる~……」

「暑~……」

「汗で化粧落ちるんだけど……」

「つーか体育祭ってやる意味あるの?」



みんなのやる気は日に日に下落する一方で。


女子は元々やる気ゼロだったから仕方ないっちゃ仕方ないけど、最初の頃はやる気満々だった男子が、最近ちらほらサボるようになってきた。


そんなみんなのやる気の無さに呑まれて、なんだか私までやる気が無くなってきている……。



「はー……」



溜め息を吐きながら少し遠くを見れば、楽しそうに練習している樫芝先生のクラスが見えて。


私の心はどんどん曇るばかりだった。




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