ならばお好きにするがいい。
 
「はい、これでひとまず大丈夫よ。腫れが引くまではちゃんと冷やしておいてね」

「はい、ありがとうございましたっ」



治療をしてもらい、先生におじぎをしてから、私は保健室を出た。


「みんなまだ練習してるかな……」


私はパタパタと廊下を走って急いで体育館に戻った。



すると、そこには目を疑うような光景。



「テメェいちいち泣いてんじゃねーよ!」

「だってぇ~……」


しゃがみこんで泣いている女子に、大声で怒っている男子。


その女子を囲んで男子を睨み付けている女子のみんなと、その女子を睨み返している男子のみんな。


とりあえず、ひと目見ただけで、険悪な空気だってことは分かった。



「ちょ……みんなどうしたの!?なにがあったの!?」

「莉華……」


私が慌てて駆け寄ると、みんなの視線が一気に私に集中した。


「……私、もうやめる。体育祭も出ない」


女子の一人が突然そんなこと言うものだから、私は耳を疑った。


「あぁ、やめちまえよ。やる気の無いテメェらと一緒にやるのなんて、こっちから願い下げだっつーの!」


その子を挑発するような口調で声を上げた男子に、ますます驚いた。



これは、一体何が……。



「あいつの投げたボールがあの子に当たったの」



呆然としていた私の肩を叩いたのは聡未だった。


「アンタ、もう顔大丈夫なの?」

「うん、平気!でもこの状況が理解できなくて、頭の中が大丈夫じゃないのであります!何があったの!?」


私が尋ねると、聡未は面倒臭そうにこれまでの経緯を説明し始めた。





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