ならばお好きにするがいい。
 
「おい。今、樫芝と何話してたんだコラ」


小田切先生は私の頭をバシバシ叩いた。なんだか、汚いものでも払っているような、そんな手つき。


「痛い痛い痛い!痛いってば!やーめーてーっ」

「うるせェ。頭撫でられてニヤニヤしてんじゃねーよ気持ち悪ィ」


小田切先生はチッと舌打ちすると、呆れたように溜め息をついた。


「……なんで今度は叩かれて笑ってんだよ」


「んっとに……どこまで馬鹿なんだ、お前」 そうぶつぶつ文句を呟く先生に、私は思いっきり抱き付いた。


「な゙……ッ!?」


先生の体がビクッと揺れる。


硬直した背中に腕を回して、その大きな体を力一杯ぎゅーっと抱き締めた。


「先生ぇ~」

「おおおおま、ぇ……ッ!なっ……なにしてんだバカッ!」

「反則」



反則。


先生、反則だよ。


こんなにかっこいいなんて反則。


やっぱり私、先生のこと大大大大大好き。


やっぱり、先生は冷たい人なんかじゃない。


「コアラか」 ぎゅーっとしがみつく私の頭をぽんぽん優しく叩きながら、くつくつ笑う先生を見上げて、今、確かにそう思った。



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