ならばお好きにするがいい。
「せんせ、スーツ汚れちゃったね。掃除する時はスーツ脱がなきゃ」
少し背伸びをして、先生の肩についた誇りを払ってあげると、先生は大人しく立ったまま少し意地悪な笑みを浮かべた。
「別に平気だろ。ドッジボールした時点で既に汚れたしな」
「……なんだそれ、もしかしてイヤミですか」
「さぁな。ま、誰かさんが百人力なら、俺のスーツも汚れなくて済んだんだが」
「あんな雑魚に苦戦するなんて、お前もまだまだだな」 にやっと口角を吊り上げた先生に、思わず胸がきゅん、と高鳴る。
馬鹿にされてるのにときめくなんて……私、本当に馬鹿なのかも。
「先生、囲碁部って嘘でしょ」
「あぁ嘘だ。本当は合唱部」
「もっと嘘だ!」
ポカポカと先生の肩を叩くと、「効かねーよ」ってほっぺを引っ張られる。
そんなやりとりがすごく嬉しくて、ずっとこうしていたいと思った。