ならばお好きにするがいい。
そして、いよいよ体育祭当日。
照れ臭がって嫌がる先生の肩に無理矢理腕を回して、クラスみんなで円陣を組む。
「2年2組小田切組!絶対絶対絶ーっ対優勝するぞーうっ!」
「おーっ!」
一つになった私たちの声は、雲ひとつない青空に高々と響き渡った。
それがとても気持ち良くて、思わず笑顔になる。
「小田切せんせ!」
「なんだよ」
「がんばりましょうっ」
「……あぁ」
「俺がいりゃ大丈夫だ」 先生は私の髪をくしゃっと掻き混ぜて、小さく口元に笑みを浮かべた。
つられて私の口元もほころぶ。
それにしても、先生のジャージ姿……。
「久々にお前のジャージ姿見たけど、やっぱりなかなか似合ってるじゃない」
「ま、俺ほどじゃないけど」 そう言いながら突然現れた樫芝先生。
物珍しそうにジャージ姿の小田切先生を観察する樫芝に、思わず噛みつく。
「あーっ!樫芝先生のばかっ!それ今私が言おうと思ってたのにいいい!ずるい!横取り!」
「ずいぶん無茶苦茶言うね」
「小田切先生!ジャージ姿凄く凄く凄ーくかっこいいです!思わず見とれちゃって口に出すのは遅くなったけど、先生のジャージ姿見て一番最初にかっこいいって思ったのは私です!スーツ姿も大好きだけどジャージ姿も大好きです!ていうか小田切先生が大好きです!」
「うるせーよお前ら」
小田切先生はポケットに手を入れたまま、呆れ返ったような表情を浮かべて、私と樫芝先生に向かって溜め息を吐いた。