ならばお好きにするがいい。
私たちのクラスは順調に勝ち進んだ。
難関だと思われた強敵三年生も見事撃破。練習の成果だってみんな大喜び。
そして、遂に決勝まで勝ち上がった私たちは、眩しい太陽が照りつける校庭の真ん中に立っていた。
「よ!今回は本当に手加減してあげないよ」
もちろん、約束通り相手は樫芝先生のクラス。
「莉華」
靴ひもを結び直していたら、背後から突然声をかけられて、私はハッと振り返った。
「あれっ、聡未?どうしたの?」
「あんた、大丈夫なの?」
「へ?何が?」
「何が?って。顔真っ赤じゃない」
真っ赤?
自分でほっぺに手を当ててみる。
ひんやりと冷たい手の感じで、初めて自分のほっぺが熱いということに気付いた。
今日は暑い。おまけに快晴ときてるから、直射日光が容赦なく降り注いでいる。そんな天候のもとで、長い時間激しく動き回っていたわけだから、体は熱くなって当然。
言われてみれば確かに頭が痛いような……痛くないような。
でもそこまで気にするほどの症状じゃないし、大丈夫大丈夫!
「あはは!長い時間小田切先生の側にいたから、顔赤くなっちゃった」
そんなふうに適当に誤魔化して、私は自分のおでこに浮かぶ大粒の汗を拭いながら立ち上がった。
「それより早くいこ!絶対優勝しようね!」
心配そうな顔をしている聡未の腕を引いて、私はコートの中へ踏み込んだ。