ならばお好きにするがいい。
先生、ごめんね。
そう謝りたいのに、何か熱いものが喉につっかえて声が出ない。
先生の顔を真っ直ぐに見ることができなくなって、私は黙ってうつむいた。
「ふ」
頭の上から小さく聞こえた息の漏れる音に、ゆっくりと顔を上げれば、なぜか拳で口を押さえてくっくっと笑っている先生の姿があった。
「先生……なんで笑ってるの?」
「ん……いや、お前が珍しく本気でヘコんだ顔してるから面白くてな」
「なにそれっ!」
私が怒って抗議の声を上げると、「良かった、調子戻ってきたな」ってますます面白そうに笑う先生。
そんな笑顔を見せられたら、つられて笑顔になっちゃうよ……。
「先生、ごめんね」
「?なんで謝るんだよ」
「胴上げしてあげられなくて、本当にごめんね」
「は?胴上げ?なんの話してんだお前」
キョトンと首を傾げた先生と目が合った瞬間、じん、と目の奥が熱くなって、途端に涙がどっと溢れ出した。
「先生……先生ごめんね……。優勝したかった……優勝して、先生のこと胴上げしてあげたかった……。練習にもいっぱい付き合ってもらったのに、優勝できなくてごめんなさい……。私、また先生に迷惑かけちゃった……」