ならばお好きにするがいい。
「……」
「先生大丈夫?」
胴上げをしたところまでは良かったものの、その後が大変だった。
胴上げが終わって床に下ろされた時、先生の顔色はびっくりするくらい真っ青で。先生はふらふらとおぼつかない足取りで私の隣のベッドに向かい、そのままドサッと倒れ込んだ。
……どうやら、気持ち悪くなっちゃったみたい。
それからクラスのみんなは解散したんだけど、先生のことが心配だった私は保健室に残った。
先生が目を覚ましたのは、それから30分後くらい。
そして今、まだ若干顔色の悪い先生と肩を並べて廊下を歩いている。
「先生って、絶叫マシン嫌いでしょ」
「嫌いじゃねぇ、大嫌いだ」
「やっぱり」
胴上げされて転落して死んじゃった人のニュースは時々耳にするけど、胴上げされただけでここまで死にそうになる人って滅多にいないよね……。
いつもは真っ直ぐ前を向いている先生が、今は完全にうつむきがち。
そんな先生も可愛い!……なんて言ったら絶対怒られるだろうなぁ。
「あ!」
売店の前を通りかかった時、私はわざと大きな声を出した。
「んだよ、うっせーな……」
「先生アイス!アイス食べよ!具合悪いときは冷たいものが一番なんだよ!」
「いい加減にしろよ、この鳥頭。俺甘いもん嫌いだって何回言えば……」
「アイスー!」
ぶつくさ文句を口にし始めた先生を無視して売店に駆け寄る。
チラッと後ろを振り返ったら、気だるそうな表情を浮かべながらも、先生はちゃんとついてきてくれていて。
先生のそういうところが大好きなんだ。