ならばお好きにするがいい。
 
窓からみえる空は、オレンジ色と群青色の綺麗なグラデーション。西の空はまだあんなに赤いのに、東の空には既にちらちらと星が微かに輝いている。


そんな空を眺めている先生の横顔を見つめながら食べるアイスは、今まで食べてきたアイスの中で一番美味しいと思った。


教室の窓際の席に腰をおろした先生と私。


みんなが帰ってすっかり静まり返った教室に、先生と二人きり。


「それ食ったら早く帰れよ」


先生は頬杖をつきながらそんなことを言う。


「んーむ……。具合悪いから送ってー?」

「調子に乗るな」


私の眉間をピンッと弾いて、先生はまたすぐ視線を窓の外に向ける。


私も、ソフトクリームに口をつけたまま先生と同じ方向に視線を向けた。


どちらが口を開くこともなく、ただ穏やかな沈黙が流れる。


先生の隣で、先生と同じ空をみてる、それだけで幸せが胸いっぱいに広がるんだ。


ずっと、こうしていたいな。


ソフトクリームはゆっくり溶けて、てっぺんから少しずつ形が崩れていく。


その崩れた部分をペロリと舐めた時、不意に先生と目が合った。




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