愛詩-アイウタ-
 唯一書いてあるのは────。


「本当?」



「うん」



「本当の本当に?」



「当然」



「本当の本当の本当?」



「だから、そうだって」



 紙電話のところに、“光り、付き合って”って書いてあった。



「るぅ、“璃”書けてない」



「知ってる」



「字、下手」



「知ってる」


 何か、うれしくて動揺してる。


 好きなのかは、まだわからない。でも、一緒にいると楽しいのは、わかる。


 変だけど、るぅがいるとドキドキすることがある。


 これが恋?──本物の。



「るぅ、プリ貸して」



 プリクラを手渡され、油性ペンを出す。



 少し考えて書いて、るぅに返す。



「やべぇ…何か、うれしい」



「ひぃもだよ」



 ひぃの伝言の方に、“いいよ”って書いた。



 本気の恋、ひぃにもできる?



 好きな人はできたことあるけど、るぅはそれとは違う存在。



 このまま行けば、この気持ちがわかると思う。



 わかったんだ。これで、わからなかったことが。


 ひぃはるぅのことが“好き”なんだ。このもやもやした気持ちがそうなのなら、納得が行く。


 るぅといる時の自分に。



「光璃」



 そのあとふたりでプリクラの台に入って、長いキスをした…。


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