愛詩-アイウタ-

甘い果実

 隣には好きな人がいる。そして、自覚した自分。



 自分の気持ちに、気付いた────自分。



「ちょっと早く来すぎたかも…」



 7時に着いた学校。“歩いてこ”って言ったから、早めに出たら失敗した。



 教室は違う。だから廊下で話してる。



「ゆみたち、どうなったんだろ」



 応答がない。




「るぅ?寝てんの?」



「…眠い」




 確かに、朝6時集合だったけど。学校は8時30分に着けばいいのに。



「だからって普通、廊下で寝る!?」



「…ご…め」



 “ん”はどこ行った!!



 寝てるんだから、しょうがないんだろうけど。



「ん!??」



 肩にいきなり重みが増え、びっくりして見てみると、頭。



 寝てよりかかっている、らしい。



「もう…っ」



 恥ずかしい…ような気がする。


 夫婦じゃないんだから、ひぃの前で寝なくても…とか思う。



「ひか…り」



「はい?居ますけどね??」



 ヒカリの歌?それともひぃ?



 どちらにしろ、【ひかり】を求めてる。



「ひぃは、ここだよ…」



 るぅは本当に寝ていて、長めのまつげが目立つ。



< 54 / 74 >

この作品をシェア

pagetop