愛詩-アイウタ-
 起きたら泣いてた。自分でもよくわからない。


 ふと横を見る。足を蹴った犯人。



「なんだぁ…」



 …るぅか。



 少しほっとする。



 夢は、普通の意識とは違う場所で見てるからすぐ忘れるらしい。


 逆に、早く忘れたい。



「今何時…」



 ポケットから携帯をとる。7時30分だ。そんなに寝てないっぽい。



 夢は、本当に長く感じたのに。


「るぅ、起きて…」



 ゆすると、瞼がピクピク動いた。



「るぅっ…起きてよぉ…」



「…む」



「む?」


 聞き返すと、るぅは起き上がった。いきなりのことでびっくりする。



「あ、おはよ」




「けっこう起こしたんだよ!」



「ごめん」



 違う。謝ってもらいたいわけじゃないのに。



 話を聞いてもらいたい。忘れられないの。あの夢が。



 たかが夢、って笑い飛ばせればいいのに。



 いっそ、夢の存在自体感じられないまま眠ってられたら…。


 もう夢は潜在意識から意識へと移った。忘れられない。



 だから、不安を取り除いてもらいたい。そう思ったのに。




「オレは、ずっといるよ」
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