愛詩-アイウタ-
ふいにるぅから言われる。悩みを見透かしたようなセリフ。
「…そばにいるだけじゃだめなの」
ワガママだとは思っているけど。不安でしょうがないの。
「ひぃのこと、好きでそばにいてくれなきゃ意味ないんだよ」
いつのまにか、泣いてた。夢で泣いた時の涙の跡を通って、滴が落ちる。
「嫌いだったら、意味ないの…」
「何か、あった?」
こくりと頷く。
「うん」
一息落ち着けて、涙をふく。涙をふかないのは、見せているようで嫌だ。
「嫌な夢…見た…。みんな敵なの」
みんなひぃのこと嫌いだった。だからあんな見下してた。だから、だから…。
スカートを握って、うつむく。
「落ち着いて」
顔を上げる。
「落ち着いてるよ」
「いや。光璃はパニックになってる。オレ、昨日言ったの覚えてる?“光璃が好き”って。好きなんだよ。なのに、敵になんかなんねぇよ」
言われた。キスした後に。それで、“ひぃも好き”って言った。
プリクラに書いた言葉みたいに。
「ひぃも、好き…」
「知ってる。昨日聞いた」