愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「…俺はいーの!」
そう言って、眉間にしわを寄せた。
「人の話は最後まで聞きなさい、バカ美憂っ!」
ペチッと、軽い音がなった。
遼にデコピンをされたのだ。
「俺は美憂のこと、大大だーい好きだけど!」
それに続けて、いつもの笑顔で口を開いた。
あ……いつもの遼だ…
「それと同じように、幼なじみで、親友でもある大智のことも大好きなんだよ。」
本人がいるとこじゃ、絶対にそんなこと言わないくせに…
あたしに言うのは、何だか卑怯だ。
本人に言っちゃえばいいのに…
「だからっ、気持ち伝えられただけで十分!」
ニカッと、歯を見せて笑った遼。
ごめんね、遼。
あたしが困った顔なんかしたから、気を遣ってくれてるんだよね。
でも……大ちゃんを好きな気持ちは、変わらないよ。
この先一生ね。
遼の顔を再び見ると、スッキリしたような、男らしい顔になっていた。
「仕方ねぇから認めてやるよ!」
腕を組みながら上から目線で笑いながら言う遼。
その姿を見て、吹き出してしまった。
「大事な親友と、その彼女の結婚だもんなっ!俺が責任を持って、結婚を盛り上げてやるからさ! 楽しみにしとけよ!」
そう言って、これまでで1番、と言っていいくらいの笑顔を見せてくれた。
「じゃあ、よろしくお願いします!遼に司会は任せちゃうよ」
「任せとけっ!」
そう言った後、顔を見合わせて、みんながいる場所へ走り出した。