愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「美憂もね、綺麗になったよ。」
鏡越しに、フッと目が合った。
「ほんとにー? 化粧してるから、そう見えるだけなんじゃないの?」
「違うよ、今日も一段と綺麗だけど。やっぱり大智がいるからかな。」
それを言われて、やっぱり照れないわけはないから、頬が赤くなる。
「ウェディングドレスも、化粧も、すっげぇ似合ってる。」
顔をパタパタ仰いでいると、再び遼と目が合った。
優しく笑った遼。
「結婚おめでとう。」
その言葉を聞いたとき、涙が目に溜まっていった。
「うわっ、ちょっ、泣くなよ!?」
立ち上がって、焦りだした。
自分のせいで泣かせてしまったと思っているんだろう。
「泣かないよ!」
遼が本当に祝福してくれているのか、不安だった。
一度も「おめでとう」と言ってくれなかったから、喜んでくれてないのかと思った。
ほんとはずっと気になっていたけど、結局今日まで聞くことができなかったんだ。
「遼っ、一度も"おめでとう"って言ってくれなかったから…っ」
涙を零さないように、上を向いて喋る。