愛羅武勇×総長様 Ⅱ


―ガチャ…

遼がドアを開けるより先に、ドアが開いた。


「はーい、助っ人登場!」

海斗が勢いよくドアを開けて入ってきた。

「あ、大智。」

その後ろから、柚ちゃんに押されながら、大ちゃんが入ってきた。

「カッコいいだろ?」

遼がニヤニヤしながら、あたしの方を向いて言った。

あたしの親に挨拶をしに来ていた時に着ていた、あのスーツ姿の大ちゃん。

灰色のスーツに、黒いカッターシャツを着ている。前と違うのは、ネクタイをして、胸のところに花をつけていることだ。


思わず見とれてしまった。

結局戻さなかった金髪も、片方だけはめたピアスも。

普通の結婚式じゃ、絶対に着ない服装をしているところも、大ちゃんらしくて、嬉しかった。


「じゃあ、邪魔者は退散するからさ。時間になったらまた呼びに来るわ。」

遼が、海斗と柚ちゃんを押しながら出て行く。

「ちょっ、押すなよー」

―バタン…

鏡越しに目が合ったとき、少しだけ驚いた顔をした大ちゃん。

近付いて来て、さっきまで遼が座っていたイスに座った。

「何泣いてんだよ。」

「まだ泣いてないもん…」

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