愛羅武勇×総長様 Ⅱ
泣きそうになっているあたしに気付いたんだろう。
「遼に何か言われた?」
「……………」
優しい顔で問いかけてくる。
「おめでとうって言ってくれたの…」
「そ……」
小さく反応してくれる。
「今日まで一度も言ってくれたことなかったから…さっき言ってくれたときスッゴい嬉しかった…」
「…今日の朝、遼が俺のいる部屋まで来たよ。」
少しだけためらった後、椅子にもたれ掛かって話し始めた。
少しだけ嬉しそうな顔をして。
頷きながら大ちゃんの話を聞く。
涙を零さないように。
「俺も初めて"結婚おめでとう"って言われた。」
大ちゃんにもまだ言ってなかったんだ。
嬉しかったんだろうな……
鏡に映った大ちゃんを見ると、自分では気づいてないみたいだが、笑顔になっている。
「俺も正直言うと不安だったんだ。 幼なじみに祝福されないって結構辛いし…」
大ちゃんも、あたしと同じことを考えていた。
2人にとって、遼の存在は大きい。
遼が祝ってくれただけで、こんなにも喜んでいるんだから。
「遼にね、卒業式のあとに"好きだった"って言われたの。」