愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「遼ー?大丈夫?」
「おー…大丈夫。 つーか、ビックリした!」
「だって双子だぜー?」なんて言いながら、笑っている。
「大智も双子だもんなー」
「あっ、そっか!」
「すっげー!」
その顔を見ていると、あれだけ子供だった遼が、大人っぽく見えてきた。
「あははっ…遼、いいことあった?」
「何で?」
「何か、雰囲気が優しくなったよ。 大人っぽくなった。」
初めて会った日から、1番成長しているはず。
それは、何かきっかけがあったからなんじゃないかなって、そう思った。
「最近ね、好きな子が出来たんだ。」
「うそっ!」
「まじ。 俺頑張ってアピールしてんだけどね、美憂並に鈍感な子だからさ」
え、あたし鈍感な子なの?
「あ、それとさ、1つだけ美憂に言っときたいことがあるんだ。」
ガラス張りになっている大きな窓から、オレンジ色の光が差し込む。
「何?」
「俺さ、美憂が大智と付き合い始めても全然美憂のこと諦めらんなかった。」
あぁ、そっか。
あたしが気付かなかっただけで、遼はずっとあたしのこと好きでいてくれてたんだよね。卒業式の日に言われるまで全然知らなかったけど…