愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「お前のせいで俺が役に立たねぇとか言われるし。」
そんなの知らない。
そっちが勝手にやったことなのに。
「つーか時間の無駄だった。」
不適に笑う健ちゃんに、昔の面影はなかった。…そっか。そもそも、昔の健ちゃんが偽りだったんだもんね。
「お前が神岡と付き合いだしたって聞いてチャンスだと思った。」
「最低…」
「あぁ、知ってる。けどお前も結構ウザいぜ?」
「そんなのっ…あたしが嫌われる理由になってないよ…」
「なってるっつーの。単に俺がお前みたいなタイプのやつが嫌いだってことだろ。」
「あたしもあんたみたいなやつが1番嫌い!こんな卑怯な手使ってないで堂々と勝負すればいいじゃん!」
あたしが大ちゃんと付き合い始めたせいで、健ちゃんのターゲットがまた、龍泉に………
「今時そんなの龍泉ぐらいだろ。」
「そうかもね、あんたとは全然ちがう…!」
あたしがそう言うと、健ちゃんの顔が不機嫌になった。
「ほら、そういうとこ。ムカつくんだって。つーかお前は絶対に幸せになんかしてやんねぇよ。」
―コツン…
静かな病室に、健ちゃんの足音が響く。
「来ないでよ!」
「威勢がいいのも今のうちだけだろ。手震えてるぜ?」
言われて気付いた。
手が小刻みに震えている。
震えている手をギュッと握り締めて、健ちゃんを睨む。
「あー怖い怖い。」