愛羅武勇×総長様 Ⅱ
イライラしてるのをあたしのせいにしないでほしい。
「チッ……」
今は明け方の3時半。
当然みんな寝ている時間だし、きっと誰も気付かないだろう。
健ちゃんがあたしの上に馬乗りになった。
拳を勢いよく振り上げる。
反射的にギュッと目を瞑った。
「何してんだ、てめぇ……」
聞き慣れた、愛しい人の声。
聞いただけで涙があふれ始めた。
「だ、いちゃん…?」
「その汚ねぇ手で…美憂に触んな。」
上半身を起こして、健ちゃんを睨むようにそう言った。
「余裕あるような顔してんじゃねぇよ。てめぇが怪我してることくらい知ってんだよ。」
「バカじゃねぇの?このくらいでくたばるような総長じゃ終わってんだろ。」
「チッ……めんどくせぇやつ。」
あたしから離れて、大ちゃんの方へ歩み寄り始めた。
「黒幕はお前だって……桜井だけは気付いてたみたいだぜ。」
「っ……柚ちゃんが…?」
柚ちゃんが気付いてたってどういうこと…?
「お前の周りはめんどくせぇヤツらばっかりだな。」
あたしを睨みつけてそう言った健ちゃん。