愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「ホストかと思ったよ。」
結局、新学期初日の始業式には、斎藤君も安田君も帰ってこなかった。
あたしたち6人はというと、担任からの説教を受けてしまった。
誰も聞いてなかったが。
そして、新学期が始まって、1週間が過ぎた。
今日は週末で、日曜日。
にも関わらず、あたしの緊張は最大限にまで達している。
時計を見て、家を出る。
大ちゃんとの待ち合わせ場所に行くために。
「い、行ってきまーす…」
「行ってらっしゃい、気をつけてね。」
お母さんは笑顔で見送ってくれたが、あたしは笑顔にはなれない。
駅前で待ち合わせをしているから、少しだけ早めに出た。普段通りにしようと思っても、いつもより早歩きになってしまう。
「あぁー…緊張するっ」
誰もいないのに、呟いてしまった。
…どうしてあたしがこんなに緊張してるの。
1人で考え事をしながら、数十分歩き続けると、駅が見えてきた。
待ち合わせ場所を見ると、まだ大ちゃんは来てないみたいだ。
でも、人はいる。
近付いてみると、ホストみたいな格好をした人だった。