愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「ホストかと思ったよ。」
「俺も自分でそう思った。」
「だろうね。駅にいた人たち、みんな大ちゃん見てたもん。」
金髪でこんな服着てれば、注目を集めないわけがない。あ、ホストじゃなくて、ヤクザでもありかも。
「知ってる。だから下向いてたんだ。」
「あ、そうなんだ。」
そこから、無言が続く。
わざわざ、話題を出そうとは思わなかった。この空気は好きだし。
話さなくても、気まずいと感じることもなくなった。
そして、いよいよ家が見えてきた。
もう少しで着いてしまう。
「緊張してんのか。」
「…………そういう大ちゃんはどうなの?」
「全くしてない。」
あたしの親に挨拶に行くのに、何であたしが緊張してんだろ……。
家の前に着くと、どうしてもドアを開けるのを戸惑ってしまう。
―ガチャ…
「えっ!?」
躊躇していると、大ちゃんが平然とした顔でドアを開けた。
「美憂、帰ったのー………え?」