愛羅武勇×総長様 Ⅱ
「俺と結婚しろ。」
あたしたちの周りで、キャーキャー言ってる女の子たち。黄色い歓声が辺りを包んでいた。
「うるさっ…」
大ちゃんが、顔をしかめて呟く。
その原因を作ってるのが誰か、あなた分かってないでしょ?
「いやー…とうとう俺らも卒業かー…」
海斗が、卒業証書の入った筒上の入れ物を、上に投げながら言った。
「早かったね。」
柚ちゃんが、真っ赤な目をして下を向いた。
泣いたんだろう。
あたしの目も負けないくらい赤いけどさ。
「美憂も目真っ赤。そんなに俺と離れるのが寂しいんだ。分かるよ、俺も寂しい!」
「遼にはいつでも会えるもんっ」
横から抱きついてきた遼の顔をそっと見上げた。この1年で、遼と大ちゃんの身長は一気に伸びた。
大ちゃんは、あたしと対して変わらなかったはずなのに、今じゃ槙といい勝負。
遼は、あたしと10センチぐらいの差ができた。見上げなきゃ話せない。
「じゃあ何で泣いてんの。」
「雰囲気にやられたの。」
「可愛いなぁ、もう。」
あたしの言った言葉を聞いて、遼は抱き締める力を強めた。
「おい、チビ。」