おん、ありがとな。



 ふぅ、国仲くんが息吐いた。私らが顔上げると何や照れたみたいな顔んなってみんなのこと見詰めとる。

「でもなぁ、やっぱ行きたいやん、全国」



 そんなん そうや。

「金のせいとかだっさいわぁ」

 苑田くんがぽつりと言って、みんな頷く。


「ほんまや」

「せやなぁ…」




「…せや!金作ったらええんやろ!?そんだけの話やろ!?」


 晴花さんが国仲くんに掴みかかる勢いで問いかける。まぁそりゃそうなんやけど、と全員思ったわ。

「せやけど部員何人や思うとんねん」

「…8やろ!?どーにかなるわそんなもん!」

「ほんならどないすんねん!」



 かんかん。
 国仲くんの弁当の蓋が地面のコンクリを叩いて晴花さんやみんなを静めた。ほんますごいわこの人。

「まー落ち着け、な」

 みんなが国仲くんのこと見とって、でも国仲くんは弁当しか見とらんかった。まぁええねんけど。

「どないして俺が後輩呼ばんかってん。示しつかんからやろ。やから内緒で何すんねん、金作るんやろ、俺らだけで」


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