おん、ありがとな。



「あ、弓!宮前んとこ行ってきたん?ご苦労さんな」

 ほら、国仲くんは芳晄んとこ行ってきた筈なんに、出来すぎやろ。やって国仲くんは偶然みたく現れたように見えて、私のところにわざわざ来とんねんで。ご苦労さん、って言うためだけに。

「どうやった?何や聞かれんかったか?」

「…むしろそないなこと言うために来たんか言うて驚かれたわ」

「はは、せやなぁ、逆に怪しまれるわな、弓やし」


 私やから驚かれたって何やろ?やっぱり部活に貢献してなさすぎなんやろか。

「…国仲くん、いつも堪忍な」


 あ、国仲くんきょとん。珍しい顔拝めたわ。せやけど今そないなこと言ってられんねん。


「国仲くんいつも全部やってくれとるやん。せやから悪いなぁ思て…あ、私もこれからしゃんとするから、何でも言うてや、…何でも」

「?どないしたん?」

 国仲くんは結局んとことても、優しい。



「今更やんな。……ほなね、」


 あ、弓、って声聞こえとったけど国仲くんを困らせてもうたことだけは判った。悪いことしたわほんま。

 私が勝手に喋って勝手に気まずくなって逃げるやなんて可笑しい話や。ほんまどないしよ。


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