綾×綾。~空回りな恋~
「そっか、だから元気なかったんだね・・・・。」
沈黙が流れる。
「あ! そういう智貴くんはどうなんですか!?」
「え? 俺? 俺はまだ・・・・なんだ。」
へ? このかっこいい智貴くんが・・・・・誰とも付き合った事がない!?
嘘・・・・
そんな人っているんだ。
「へぇ、じゃぁまだ初だらけなんだね、彼女できたら・・・・。」
「うん。でも、いいな。一度は付き合ってみたいな。」
遠い目で、上を向く智貴くん。
「大丈夫!! 智貴くんなら好きになる人現れるよ!! だって、こんなにかっこいいいいんだし!」
「ありがとう、そんなこと言われるのも初めてかも・・・。」
「え? そ、それは大袈裟じゃあ? 」
「ううん、俺、ずっと引きこもりだったんだ。」
へ。
そんな寂しそうな智貴くんの顔を離せなくなった。
「ひ、引きこもり? なんで?」
「親が俺の事なんてどうでもいいっていうんだ。だからお前は外に出るなって言われ続けた・・・・。」
その言葉をいい終えると涙が滴り落ちていることに気付いた。
その瞬間、あたしは智貴くんを抱きしめた。
「あ、あやちゃん!? 」
すぐさま手であたしを押し返す智貴くん・・・。
「だって、あまりに可哀想で抱き締めたくなった。」
あやは泣いた。