綾×綾。~空回りな恋~




「りょおぅー、そんなに優しくしないでぇー、涙、止まんなくなるぅーー。」





あたしはグズグズ泣きながら言った。






「泣き虫。」





それだけ言うと、りょうは指を離した。






「ありがと。 ・・・・・・・ヒック。」





あたしは顔を真っ赤にして答えた。





「じゃ、そろそろ行くね。」





「え!? 待って!!!」





あたしは思いもよらぬ言葉を言っていた。






あたしが今、止めてもなんにもならないのに・・・・。






でも、正直な事、真実をちゃんといっとこうと思った。






「あ、あたしね。こ、高校卒業したら・・・・・―結婚するの!!」





りょうがこっちに振り返った。





「え・・・・・けっ、結婚・・・・・?」





「うん・・・・・!」





あたしは頑張って言い切った。






なんか、すっきりした気がする。





「そっか、おめでとう。」






りょうはちょっと寂しげに笑顔を見せると、手を振りながら後ろを向いて歩き始めた。







「り、りょうの事っ!! まだ・・・・・ちょっと好きかもしれないけど・・・・・頑張るねっ!!」






あたしは精一杯の声で言った。






りょうはまた振り向いて




「それって、俺に言う事じゃないだろ。」





りょうはふっと笑った。





< 79 / 140 >

この作品をシェア

pagetop