あなたの腕まで、あと何センチ?

『泣かせてないですー。』

向坂くんが、膨れっ面になってる。私は、なんか笑ってしまった。

『佐倉?何で笑うんだよ!』

『だって…。』

『いつも怒ってるから、そう見えるよね~佐倉ちゃん。』

梨華先輩にそう言われるとそうかもと、また笑ってしまう。

『俺は、本気で心配して!』

顔が赤くなる向坂くん。笑う梨華先輩。

私は、なんだかホッとしたのか…涙がでてしまった。

その涙は、次から次へとあふれてくる。大きな雫が、私のカフェエプロンを濡らしていく。

『おい!佐倉!』

『佐倉ちゃん!?』

慌て出す二人。

『とまらない…どうしよ…。』

我慢してた糸が、切れてしまったみたいだ。
< 21 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop