あなたの腕まで、あと何センチ?
凌は、ひたすら『ごめん。本当にごめん。俺が、悪い。』と謝ってきた。
『できる事なら、別れたくない。響の事大切だから。莉子とは、ちゃんと別れる。』
涙をいっぱいにした目が、私をとらえている。
『…私の事を大事にしてくれてたのは、わかってたよ?でも、莉子先輩も大事になっちゃったんでしょ?けど、本当に大切なら…浮気しないよ?一夜だけじゃないじゃない。これは、本気でしょ?だから、私との事は終わりにしよう。』
その時、ドアをノックする音が聞こえて、向坂くんが入ってきた。
『佐倉?大丈夫か?』
私は、ガバッと布団をかぶる。凌は、瞬時に涙をふいて向坂くんに『さっき、目を覚ました。もう少し休むって。』と言ってくれた。