あなたの腕まで、あと何センチ?
昇降口をでると、凌の姿が見えた。
『響』
優しい声で、私に手をふる。
顔をみるとやっぱり、この手を離せないって思ってしまう。
『ごめん、お待たせ。』
『今日、何食べる?』
『んー…ハンバーグ?』
『作る?それとも、食べに行く?』
私は、親と仲良くなかったから高校を卒業して、一人暮らしを始めてた。
凌にも、合い鍵を渡してたし、半同棲になってた。
『じゃあ、凌の為に作る。』
『じゃあ、響の為に食べる。』
『何それ〜?…じゃあ、スーパー行こっ!』
そんな会話をしながら歩いてたら、カフェからでてきて図書館に行こうとしてる莉子先輩が見えた。
内心、ドキッとする。
私は、思わずぎゅーっと凌の腕を組んだ。
『どうした?』
凌も、莉子先輩も気づいてないみたいで、私は慌てて空を指差した。
『ほらっ、見て!夕焼け!ピンクだよ!』
『お。響は、ほんと空好きだよなぁ。』
おもいっきり右を見せて、莉子先輩を見えないようにした。
その時、図書館の入口に入る莉子先輩が私達に気づいて、見つめてたなんて知らなかった。
だって、私が見た時には、そこに姿はなかったから。