あなたの腕まで、あと何センチ?
その時だった。

『俺さ…彼女と…喧嘩してさ…ちょっと、イライラして…佐倉に、あたったのかも…。』

『えっ…?』

『昨日、咲姫が男と二人で買い物してたの見た。そしたらさ…手つないでたんだよ…えっ?てなって…夜、喧嘩したんだ。』

向坂くんが、寂しい顔をしてた。

『咲姫さんに、ちゃんと理由あったんでしょ?』

『あった…でも、プレゼントを選んでただけって言うんだけど、咲姫が手をつないでたのも、見間違いっていうけど…。』

ますます、向坂くんの顔が暗くなる。

私は、いつの間にか無意識に、向坂くんをぎゅっとしてしまった。

だって、すごく弱々しく見えたから…何かしてあげたくなってしまったから。

無意識なのか、向坂くんも私の背中に手を回してきた。

ドクンドクンと、鼓動が鳴る。
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