あなたの腕まで、あと何センチ?
『響ちゃん、いけない恋しちゃった?』
一瞬で、ドキッと鼓動が鳴った。愛里に聞こえるぐらい、大きい感じがした。
『…何で?』
『あ。動揺した?』
『いっつも、正直に話す響ちゃんが、苑子ちゃんの話に答えられなかったから。』
『…そっか。』
『私ね、既婚者とつきあってるんだ。』
『…えっ?』
『…高校の先生なの。歳も10歳上。つきあいは、まだ1年ちょっとぐらいなんだけどね。』
愛里の話はまだまだ続く。私は、頭の回転がついていかないのが現実だった。
『奥さんは、先生の4歳下でピアノの先生をしてるの。子供は、男の子と女の子の3歳と1歳なんだよ。』
愛里、不倫してたんだ。
初めて知った。