あなたの腕まで、あと何センチ?

愛里が、無言でポンポンとしてくれる。

『…好きになっちゃった。』

『誰を?』

『同じバイト先の、同じ歳の、先輩で…。』

何か、うまく話せない。でも、愛里はうんうんと聞いてくれる。

『響ちゃんは、考えこんじゃうと溜め込んじゃうからね。どっかで、吐き出さないとね。』

『そしたら…彼が…いや…向坂くんが…彼女と喧嘩したっ…て…て、へこんでて…て。』

声がどんどん嗚咽まじりになる。

多分、愛里には聞き取りづらいだろう。

『…エッチしちゃったんだね。』

愛里の言葉に、うんうんとうなづく。

『響ちゃんにとっては…幸せなエッチだった?』

私は、素直にうなづいた。

『悪い事だけど、でも後悔してないんならいいんじゃない?正当化する訳じゃなくてね。けど、やっぱり罪悪感には襲われてるんでしょ?』
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