あなたの腕まで、あと何センチ?
『あっ、お疲れ様でーすっ。』

私の挨拶に、店長は『おうっ』と手をあげる。

『向坂ーっ、買い出しよろしくな。』

『はーい、行ってきます。』

店長の声に、向坂くんが裏口をでていった。

やばい、ドキドキする。鼓動がとまらないまま、更衣室に入り着替えた。着替えながら、さわられた手に、ぎゅっとふれる。

タイムカードを押して、カウンターに『お疲れ様です。』と入っていく。そこには、梨香先輩がいた。

今日は、どうやらすごく機嫌がいいらしい。鼻歌を歌ってる。

『なんかあったんですか?』

私の声かけに、梨香先輩はニコニコと振り返った。

『え?わかる?』

私にサンドイッチの材料を渡しながら、トーンの高い声が返ってくる。

『わかりますよ~。』

『あのね、ほしかったブランドバック買ったの。それも、宝くじが10万当たって。』

クフーッと嬉しさをあふれさせている。
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