ずっと、ね(短)
「……那岐さん、あんましくっつかないでくれます?」
「えー、」
「なにその不満声」
見上げると首が痛くなるから前を向いたままサクサク歩く。
要の大股について行くために早足になるのはいつものことだ。
「俺が後で怒られんだよなぁ」
「誰にー?」
「……キングに」
「ふーん」
私の声に脱力したように要は歩幅を狭めてゆっくり歩いてくれた。
こんな優しくて不良だなんて、なにがどうなったらそう言うことになるんだろう。不思議だ。
「そいやさ、悠里がなんでK大に行くか聞いてんの?」
突拍子もなく投げられた質問に首を振る。
「ちっ、……なぁ、なんでか知りたい?」
「知ってんの?」
「あぁ、知ってる」
楽しそうに声を弾ませる要に、若干の気持ち悪さを感じて顔を上げた。
……意地悪な顔になってる。