ずっと、ね(短)
……聞くんじゃなかった。
「……っ、」
知らなきゃよかった。
嫌だ、嫌だよそんなの。
駆け込んだ教室に悠里くんの姿はなかった。急いで踵を翻して来た道を戻る。
全速力で階段を上がって、重たいドアを押す。なかなか開かないそれは、ギシギシと嫌な音を立てて少しずつ動いた。
逆流してきた風に押し戻されそうになりながら屋上に出ると、広いコンクリートのずっと先に、見つけた。
「悠里くんっ!」
声は真っ直ぐ彼まで飛んでいったみたいで。振り向いた悠里くんは、目をパチクリさせて私を捉えた。
伝えなきゃ、確かめなきゃ。
近づく距離、だんだんはっきりしてくる悠里くんの表情は、いつかみた時と変わらず曇っていた。