ずっと、ね(短)





今、校舎の中では4限の授業の真っ最中。ちなみに私のクラスは体育。グラウンドから聞こえる声はクラスの人のものだろう。



--カシャン



凭れたフェンスが鳴く。
背中に風が当たって気持ちよかった。





「あれ、今日はこっちにいたんだ」


ひどく懐かしく聞こえた彼の声。分厚いドアに身体を預けて、腕を組んでこっちを見ている悠里くんに息を呑んだ。


「珍しいね、ここにいるなんて」

「……たまには、気分転換もいいかなぁって」

「そか」


あまりにも普通に話しかけてくるもんだから、こっちも乗っかってしまった。


「いいのかなぁ、優等生が屋上でサボリなんて」

「いいんじゃない?誰にも迷惑なんて掛けてないし」


どこか投げやりなその態度に首を捻りつつ、深くは聞かなかった。





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