俺がこの空を見上げる意味
言っただろ、灯世。



俺は神なんて信じない。



神がいるのなら、毎日熱心に祈りを捧げてた灯世を、



国のために人生をかけた芦多を、



奪っていくはずがない。



この世にいるのは、ただの死神だけだよ。



その証拠に、お前達の死を嘆く間もなく、俺たちは追っ手から逃げ回るはめになった。



屋敷に戻って降伏した瞬間から、残党狩りは始まった。



助けてくれと懇願する女子供を、容赦なく切り捨てたあいつら。



型の仲間も犠牲になった。



あの爪鷹も、肩口を斬られた。



みんな、お前達の亡骸を抱えながら必死で走った。



お前の部下の敦賀は、よく助けてくれたよ。



俺たちは必死で逃げた。



逃げて、逃げて逃げて。



山奥まで分け入って、そこでやっとお前達の葬儀を行った。



綺麗な湖のほとり。



雪が降ってて凍ってたけど。



春になったらさぞ綺麗だろう。



俺たちはみんなで穴を掘って、一緒にお前達の遺体を埋めた。



外傷のない、綺麗な身体だったな。



芦多、お前の死因がわからないよ。







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