俺がこの空を見上げる意味
悲劇
なのに、お前達は呆気なく死んだ。
戦争が始まって、まだ一週間足らずだった。
二人して、突然に逝ってしまった。
どういうことだよ。
俺が急いで駆けつけたときには、もう既に爪鷹と耶粗もいて。
倒れたお前と、お前に抱かれた灯世を囲んでいた。
俺は、爪鷹が泣くところを初めて見た。
あの爪鷹が外聞を気にせず、お前達の亡骸にすがっているところを。
どうして俺を置いてった?
『幸せだ。
もう、灯世とは離れたくない。
幸せでたまらないんだ、千歳。』
そう言って笑ったのは、ついこの間だっただろ。
そういうお前を見て、俺はうれしかった。
やっと、感情を殺して三芳のために生きてきたお前が幸せを掴んだって喜んだのに。
三芳のために、あんなどうでもいい奴らのために、お前達は死んだ。
俺の世界で一番大事な友達を二人、奪われた。
そばに、いるだけでよかった。
灯世を愛してた。
でも、お前も大切だった。
大切な二人のそばで、俺は年をとるはずだった。