桜、月夜、愛おもい。
視線を戻す。
不思議そうな顔の凛桜。
でもすぐに微笑んで、私の頬に手を添えた。
「じゃあ奈津は、僕がいないと泣いちゃうわけだ」
「うん。淋しくてね。きっとすごいわよ」
楽しそうに言う凛桜に、私も調子を合わせて返す。
凛桜はくつくつと笑うと、頬をそっと撫でた。
「じゃあ、もうすぐ泣いちゃうね」
わざとらしい軽い口調には、隠しきれなかった切ないような響きが滲んでいる。
胸が苦しくなって、「そうね」と返す声が震えてしまう。
真っ直ぐに凛桜を見た。
「あとどれくらいいられるの?」
つい縋るように言ってしまう。
ハッとして笑顔を作ったけど、もう遅い。凛桜は気付いてしまった。