桜、月夜、愛おもい。
雨はシトシトと降り続ける。
ジメジメして、気持ち悪かった。
「………親は…」
私はそこで言葉に詰まる。
これ以上言って……いいの?
眠る男。
暴れ狂う女。
残された女の子。
殴られて、蹴られて、
一人泣く………私。
身体の見えないところに付いているアザを、私はそっと、服の上からなぞった。
凛桜の顔を見て、微笑む。
「二人共、夜遅くまで働いてるから。家にはいないの」
そんな私を、凛桜が悲しそうな瞳で見ていたことに、私は気付かなかった。