桜、月夜、愛おもい。

何も憎んでいるわけじゃない。
恐いだけ。嫌いなだけ。

心配くらいする。


いくら血が繋がってなくっても、殴られても、母親なのには変わりないんだから。


明菜さんはこっちを向いて微笑んだ。

いつもは絶対しない、優しい目で。


「っ!」


お父さんと同じ目だ。

暖かみを含んだ、母親の目。



「寝てなさい」


明菜さんはそう言って、外に出て行った。



< 31 / 163 >

この作品をシェア

pagetop