桜、月夜、愛おもい。
この人が母親なのは間違いない。
とても優しい瞳で私を見てるから。
でも…。
「…奈津」
優しさと同じくらい、悲しそうな、辛そうな瞳をしている。
まるで自分を責めているみたいな。そんな瞳。
医者がお母さんに何か言った。
お母さんはショックを受けた顔で私を見つめた。
「…お、母さん…?」
私がそう呟くと、お母さんはベッドに崩れ落ちて泣き始めた。
身体を震えさせて、シーツに顔をうずめて、激しくしゃくり上げる。
私はその背中に、そっと手を伸ばした。