桜、月夜、愛おもい。



頭痛が治まってきた。


たぶん、これが最後の記憶。





『こんにちは。僕は桜の精です』

『僕は凛桜です』

『奈津!』

『うまっ!これおいしー!』



どの言葉も、キラキラと輝くような笑顔で、唇から零れ落ちている。


私の心を揺さぶる。





「…凛桜…」



私は、お母さんや医者の声を無視して、病室を飛び出した。





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