桜、月夜、愛おもい。
薄桃色の桜の花びらが、ハラハラと上から降って来る。
桜の精は、そこにいた。
「凛桜ッ!!!」
私が呼ぶと、満面の笑顔で駆け寄って来る凛桜。
「奈津、大丈夫だった?」
心配そうに見つめる瞳に、私は笑みを返す。
「凛桜が助けてくれたんでしょ?ありがとうね」
どうやったかは知らないけど、お母さんがあんな風に歩いて回れるのも、凛桜のおかげ。
きっと、凛桜が助けてくれたんだ。
「うん。そのせいで、枝が少し痛んじゃった」
凛桜は楽しそうに苦笑して、首を傾げる。
その顔は、とても綺麗で可愛らしくて、思わず見とれた。