桜、月夜、愛おもい。
「奈津、可愛いね」
周りに人がいたら卒倒しそうなくらい綺麗な笑顔で、何とも恥ずかしい台詞を凛桜は吐く。
その声は低くて甘くて、「コイツ人間だったらすごいモテるんだろうな」と心の中で密かに思った。
よまれてなきゃいいけど…。
「奈津、顔赤い?」
…ぶん殴ってやろうか。
顔を引きつらせながら、私は桜の枝を掴むと、それを目線の高さまでおろした。
そして、凛桜に向かってにっこりと微笑む。
「………折るよ?」
凛桜が身を震わせた(ように見えた)。