桜、月夜、愛おもい。
窓がガタガタと音を立てた。
風が木々を大きく揺らし、大粒の雨が窓を打ち付ける。
じめっとした空気で部屋の中が包まれて、少し気持ち悪い。
私は咲菜に、今まであったことをすべて話し終わっていた。
咲菜はほぅっと溜め息をついた。
「それ、本当の話?」
そう尋ねてくる咲菜の大きな瞳は、『信じられない』と言っていた。
私はしっかりと頷く。
咲菜は、「だよね。奈津はこんなとこで嘘吐くような子じゃないし」と言ってにっこりと笑った。
その顔がすごく優しくて、私はきゅうっと胸が締め付けられる。
(あ…写メ撮っとけばよかった…)
なんて場違いなことを考えてしまうほど、咲菜の笑顔は優しくて、すごく綺麗だった。